聴神経腫瘍
聴神経腫瘍は良性脳腫瘍の一つです。音を伝える蝸牛神経と平衡感覚を伝える前庭神経からなる第8脳神経(聴神経)に発生します。片耳が聞こえにくくなったり、耳鳴り、めまいなどの症状がある時、それが内耳の神経が原因である場合に注意すべき病気です。
通常この良性腫瘍は年月をかけ、ゆっくり大きくなっていきます。がんのように他の臓器に転移をすることはありませんし、1、2ヶ月ほどで急激に増大することもありません。
しかし腫瘍ですから徐々に大きく成長し、近くにある顔面神経や三叉神経を圧迫するようになります。そうすると耳の症状の他に顔面マヒやしびれ、痛み、または小脳が圧迫されてふらつき、歩行障害や水頭症の合併による意識障害などの症状があらわれます。
最終的には生命にかかわってくる病気です。初期症状のほとんどの場合は腫瘍のできた側の聴力が低下します。耳がつまったような耳閉感が症状として現れることもあります。
多くは腫瘍が小さい時期に早期発見できますが、同じような症状があらわれる病気は沢山ありますので、初めから精密検査を行うことはできません。経過を追って、症状の変化を慎重にみていくことが重要です。通常、腫瘍はゆっくり大きくなるので、難聴等の症状もゆっくり進行することが多いのですが、稀に突然発症する場合もあります。
突発性難聴やめまいがひどい場合は、この病気の可能性も考えられるので精密検査が必要です。